『十水』

『じゅっすい』でも
『とすい』でもなく
『とみず』



白米十石に十石の水を加える。つまり、米と水が1：1の『十水仕込み』。
今主流の白米：水が1：1.2の『十二水仕込み』とは違う。
これでどういう酒ができるかって？ 濃くて旨～い酒が出来上がるンだ。
俺ぃらの大好きな酒さ。

今はお休みしちまっているが、 以前ひょいと立ち寄った寿司酒場で偶然十水に出逢っちまって。まぁ、一寸の迷いもなく頼んだわな。
こってりしたモンに合わせたら最高だろうなぁ……と思いながら最初の一口飲んだら、大将がそんな俺ぃらの気持ちを知ってか 知らずか、「今日は白子の天ぷらがオススメだぜ？」と。


カラリと揚がった白子を一口食べ、十水を一口飲む。 一口食べ、一口飲む。一口、一口。
気付けば白子も十水も俺ぃらの前から姿を消しちまっていたさ。
大将が笑いながら、「もう一回揚げようかい？」と。「十水と一緒に頼む。」

その店は他にも山形の銘酒を色々置いてたんでな、結局日本酒を5合ほど空けてしまっていたぜ。
まぁでも、この遠い東京の地で故郷の酒が飲めるってのは幸せなことだ。

さて、サキホールでも、この十水に最高に合う肴って奴を考えなきゃな。

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